2024年8月15日
聖母の被昇天 ルカ1:39~56

 聖母の被昇天は、エルサレムにおいてすでに5世紀に祝われていた記録があるとのことです。6世紀には東方教会においてマリア様の死去の日として祝われ、西方教会においても8世紀にはマリア様の被昇天という名で広く知られるようになりました。教義として宣言されたのは、1950年11月1日に『ムニフィチェンティッシムス・デウス』という教義決定書が、ピオ12世教皇によって発表されたことによりますが、古代教会からマリア様の被昇天は特別な尊敬を受けていました。

 この教義決定書の文書をみますと「被昇天」という用語は見当たりません。「アスンプタ」(受け入れられた)ということばで、聖母マリアは、その誕生の時から人生のすべての日々、そして死の時も神様のいつくしみの中に受け入れられたお方であるという意味が語られています。確かに、イエス・キリストと最も深く結ばれているマリア様ですから、誰よりも深く、強くイエス様の復活と栄光にあずかっておられることを古代よりキリスト者たちは実感していたのです。

 さて、福音朗読では、マリアの賛歌とよばれ「マグニフィカット」という名でも親しまれている、マリア様の心からほとばしり出た新約聖書中で最も美しい賛歌の一つが朗読されます。ミサの朗読で用いられる共同訳聖書では、冒頭のことばが「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます」となっていますが、「わたしは神をあがめ、わたしの心は神の救いに喜びおどる」という「教会の祈り」(聖務日課)や典礼聖歌集で歌われることばは、「神様の救い、いつくしみ、愛の深さと広さ」を中心として表現しており、すべてにまさって神様を大切に思うマリア様の感動・喜びを表現しているように思います。

 そして今日、8月15日は、日本ならびに日本の教会にとって大きな意味のある一日です。1549年のこの日、かのフランシスコ・ザビエルが日本に到着し、この国にキリストの教えの第一歩が始まった日です。1603年、江戸の地で最初にミサが行なわれたのもこの日、さらに幕末、沖縄に再宣教のためパリミッション会の宣教師がたどり着いたのもこの日、あの戦争がようやく終わったのもこの日なのです。この国が聖母の特別ないつくしみによって守られ、愛されていると思えてならない一日なのです。

【祈り・わかちあいのヒント】
 「恵の源である神よ、あなたは御子イエスとともに過ごしたマリアの信仰の生涯を受け入れて下さいました。わたしたちも聖母の祈りに支えられ、いつもみ旨を行うことができますように。 アーメン」