聖霊降臨の主日の後に、神の救いのみわざ全体を統合するテーマとして「三位一体」「キリストの聖体」を祝う主日が続きます。今日の福音の朗読箇所は、5000人にパンを与える奇跡のエピソードですが、ルカ9章16節のイエス様のことばと行いは、新約聖書全体では10回も記述されているものです。そしてルカ福音書では特に次の点が特徴となっています。
- 神の国について語り、人々をいやすイエス様(11節)
ご自分を求めるすべての人々を迎え、受け入れるイエス様の優しい愛、イエス様における神の国の現存、イエス様によるいやしを、一連のものとして考えています。すなわち、「神の国」とは「神の愛と恵みの場」であり「イエス様自身」こそ、その見える姿であり、それを「聖体」として、すなわちあらゆる時代のキリスト者へ与えようとするイエス様の姿が描かれています。あらゆる時代のキリスト者が「イエス様のことばと行い」を繰り返すとき、イエス様はその中におられるのです。イエス様とともにいる豊かさは12のかごに用意されているように、さらに多くの人々のために与えられるものなのです。
- 弟子たちのことば、群衆への心遣い(12節)
「もはや日が傾きかけた」ので、弟子たちは集まった人々の食事や「宿」のことを心配してイエス様に語りかけました(ルカ24章のエマオの弟子たちに現れたイエス様を連想させることばです)。ここは人里離れたところ、イスラエルの先祖たちが歩んだ荒野の旅の間、天からのパンがイスラエルの人々の命を支えたように、イエス様はご自身を求め、信じて従ってきた人々に、天からのパン=ご自身を与えようとするのです。
- イエス様のチャレンジと弟子たちのこたえ(13節)
イエス様は弟子たちの提案に対して不思議なことを命じられます。すなわち、「あなたたちが食べるものを与えなさい」と。「5つのパンと2匹の魚しか、手元にありません」という弟子たちのこたえは正直であり、また現実的であり、人間の力ではこのチャレンジにこたえようもないことが感じられます。イエス様はただ一人でこのことを解決しようとはなさらず、弟子たちをご自分のなさろうとする救いのわざに参加させようとしているのです。弟子たちは、イエス様に命じられたように人々を50人、100人の組にしてすわらせました。イエス様が祝福して裂かれたパンを、人々一人ひとりの手に渡してゆきました。パンは力の泉(詩104:14~15)、神のことば(アモス8:11)、神の恵み全体のしるし(ルカ11:3)、イエス様ご自身(ヨハネ6:35)のシンボル。
【祈り・わかちあいのヒント】
*今、私たちの手元にある5つのパンと2匹の魚は何でしょうか?