いよいよ四旬節が始まりました。この40日は、ノアの方舟の出来事、40年の荒野の旅、イエス様の40日の荒野での試練と私たちを結びつけるのです。マルコ福音書はマタイ・ルカと異なり、ごく短い報告にとどめています。しかし、その特徴として「その間、野獣と一緒におられたが、天使たちが仕えていた」という記述がマルコ福音書だけに記されているのです。これはイエス様の洗礼と荒野の試練が第2のエジプト脱出として描かれているのです。 最初のエジプト脱出ではイスラエルの民は野獣の住む荒野に導かれ、40年の間そこに留まり、試みを受けました(申命記1〜4章、32章10節)。ヨルダン川の水から上がったイエス様にとっては、「荒野」は「野獣と住み、天使に仕えられる」場所でした。 それはイザヤ11:6に記されているメシアの時の到来を暗示しています。「狼は小羊とともに宿り、豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち、小さい子供がそれらを導く。牛も熊も共に草をはみ、その子らは共に伏し、獅子も牛も等しく干し草を食らう。乳飲み子は毒蛇の穴に戯れ、幼子は蝮の巣に手を入れる」。イエス様は新しい天と地の秩序をもたらす方なのです。 イエス様がともにおられれば、荒野も天使の仕えるところとなるのです。私たちの世界にもサタンや野獣が住んでいるのではないでしょうか。毎日の新聞やニュースには数多くの不幸な出来事や犯罪が満ちています。さらには私たちの心の中にも、時としてサタンや野獣が忍び寄って来ることがあります。 自分の弱さを知っているならば、今こそイエス様の呼びかけである「福音」に耳を傾けなければなりません。今がその時なのです。四旬節は元来、洗礼志願者の準備期間が発展して、現在の形になったものです。毎年、この時期には、既に洗礼を受けている人々が自分の信仰の出発点である洗礼を新たに受ける気持ちで過ごすことが大切なのです。 もう一度、学び直すチャンスなのです。この40日間を漠然と過ごしてしまうのではなく、イエス様とともに、荒野であれ、野獣がいるところであれ、歩んでゆくのです。「時は満ちた。神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じる」時が来ているのです。 【祈り・わかちあいのヒント】 *今年の四旬節をどのように過ごすつもりですか?